29年目を迎えたしまね映画祭から生まれた“しまね映画塾”も今年で18年目を迎えました。昨年、悲願だった隠岐の島での撮影合宿が叶った矢先、2020年が、新型コロナウイルスによる世界的なパンディミックが起こるとは、想像すらできませんでした。中止、という文字が頭をよぎりましたが、映画祭実行委員会の皆さんと協議し、リモート開催が実現しました。緊急事態の中、関係者の皆様の英断に厚く御礼申し上げます。

しまね映画塾は、座学では無く、撮りながら学ぶ、実践型ワークショップです。

素人大歓迎！脚本を書いて応募、塾生みんなで選んだ約10本のシナリオを基に、撮影合宿を敢行、作品を完成させます。今まで約170本のショートムービーが誕生しています。

とにかく撮り始めることが大事なのです。初めて顔を合わせた老若男女が喧々諤々、試行錯誤しながら撮るのがしまね映画塾です。応募作品を拝見し、コロナ禍の中、塾生の皆さんが苦労している姿が目に浮かぶようでした。

2020年、コロナ禍で完成した特別な35本。参加した皆さんは撮影を終えた時、何を感じましたか？皆さんが、撮ろうと動き始めた瞬間のポジティブなエネルギーは、何にも代えがたいものです。その決断に敬意を表します。

惜しくも選に漏れた作品について、この場をお借りして少し触れさせていただきます。

「ミラクルみっちゃん（ダンプおやじBOY監督）長野」は、映画塾が始まった当時の頃を思い出してしまう素朴な作品でした。出演者の素が出ています。「離れていても心はひとつ（河本憲治監督）東京」もリモートでの音楽家の皆さんの演奏は、思いが伝わるものでした。“音”がもう少し何とかなれば、審査員の皆さんの受け止め方も違ったかもしれません。「十人十色（藤田太斗監督）福岡」は、出演者の自然体な雰囲気がリアルで秀逸でした。面白かったです。「イルティッシュ号（村上英明監督）島根」や「食欲（𡈽方智恵子監督）福岡」や「アイコンタクト（山諸加菜監督）福岡」、「八雲の家で（貴田雄介監督）熊本」などは、評価が分かれました。結果、厳正な審査によって選ばれた作品は11本。

脚本、演出、カメラワークや画、録音の技術、演技やキャラクターなど、総合的にバランスが取れた作品が残ったように思います。毎年、塾生作品に触れるたびに、映画とは何だろうと考えてしまいます。作品は作り手の思いに正直です。作品によりますが、日頃、何を考えて生きているのか、何を見ているのか、考えているのか、作り手の生き様が透けて見える瞬間があります。作りながら作り手自身が気づく瞬間もあります。それが“作品を作る醍醐味”かもしれません。

作品の好みは人それぞれです。残念ながら入選しなかった皆さんも、

これに懲りず、これからも作品作りを続けてください。お願いします。

全国からご参加いただきました塾生の皆さん、ご協力いただいた全ての皆様に心より感謝申し上げます。

発表上映会では、ゲストからどんな感想が飛び出すのか楽しみです！

リモートでお会いしましょう！